サッカーに限らず、どんなスポーツでも、練習の後に「足首、膝、股関節の下半身を中心に、十分ストレッチしときなさい」と言われますよね。言うのは簡単ですが、ほとんどの場合において、本人はもちろん、指導者も正確なストレッチの方法を理解していないのが現実です。
正確さに欠けるストレッチはアスリートにとって無意味です。
当然効果は見込まれず、結果として「ストレッチ大嫌い」という事になります。
ストレッチで大切なことは?
大切なことは三つです。
- 自分の疲れているところ・改善すべきところを正確に見つけること
- 的確な方法で、問題箇所にアプローチすること
- このプロセスを通じて、怪我の防止やフィジカルの向上という効果に直結させること
自分のフィジカルパフォーマンスが目に見える形で向上して、喜ばないアスリートはいません。
私はこの方法で、アスリートのストレッチ嫌いを解消する事に成功し、大目的であるコンディショニング効果を飛躍的に向上させる事に成功してきました。
その際に気をつけるてほしいことは、「人それぞれ、ボディサイズやコンディションが違うので、ベストなストレッチ法も人それぞれ違う」と認識する事です。
ここを理解しないで一般的なマッサージ・ストレッチを全員に強要しても意味がありません。
まずは3つの関節。サッカー選手の正しいストレッチに繋がるコンディションの見分け方
サッカー選手は走ることが多いので、下半身にまずはフォーカスしましょう。
足首、 膝、 股関節、の3つの主要関節をメインターゲットに考えます。
- 足首の見分け方
床に仰向けに寝て、足首を曲げて指先で床に触れるか?
触れなかったら、前脛骨筋を伸ばす必要があります。
- 股関節の見分け方
床に仰向けに寝て、腰が床から浮かないか?
腰が浮いていたら、ヒップフレクサー(股関節回りの筋肉群)を伸ばす必要があります。
- ひじ関節の見分け方
ひじの上のお皿の上を横一直線に深く押して、際立つ硬さはないか調べる?
硬い場所があったら、大腿四頭筋をまんべんなく緩める必要があります。
サッカー選手のコンディショニング不良の原因を見抜く方法
「コンディショニングが悪いのはわかるけど、根本的な原因がわからない」
そのような時は動画で、走る姿を前方と横から撮り、自分のクセを観察することがおすすめです。自分では気づかない体の使い方・意識の癖に気づくことができます。
次の2つの写真は、走るフォームを撮影したものです。
左右のひざの位置のブレが目立ち、バランスの悪さが顕著です。
ちなみに、本人には自覚はありません。
膝の位置がブレている原因は、3つ考えられます。
- 自分の感覚と、実際の体の動きが根本的にずれている
- ももの筋肉の内側と外側のバランスが悪く、強い筋肉側に引っ張られている
- 腰の動きの悪さが、ひざの動きに影響を与えている
この写真の方のケースでは、3つ目の「軸足となる左の腰の動きが悪かった」ことが根本原因でした。腰の歪みが、右ひざの不自然な動きを誘発していたのです。改善に向けたアプローチとして左股関節を緩めると、右ひざの動きが改善しました。そして、仕上げに大腿四頭筋のバランスを整え、足首も緩めてコンディショニングを終えました。
根本原因を見極めるときには、脚や腕という関連する動きごとにコンディショニングしたり、時間経過によるコンディションの変化も観たりもします。良いパフォーマンスを継続的に出すには、痛みや問題点を見えなくするのでなく、根本原因にアプローチにすることがなによりも大切なのです。
サッカー向けのベストなストレッチ=自分の意思で、正確な場所に、正確なアプローチ
前述のようなプロセスを説明しながら行うことにより、サッカー選手本人の興味・理解自体が深まります。そして、的確なアプローチにより結果が出ると、本人もコンディショニングに対して、本気になります。
練習しなくてもサッカーが上手くなる要素を発見することに、興味が無いわけが無いのです。
サッカーだけでなくすべてのアスリートにとって当てはまることですが、すべての方に当てはまる一定のストレッチがあるわけではありません。自分の意思で、正確な場所に、的確なアプローチをすることだと考えています。
Photo by Jeffrey F Lin on Unsplash