先日いらっしゃったサッカー選手の悩みは 「股関節が硬くて素早くサイドキックを早く出せない」こと。
サッカーのサイドキックは足の内側でボールを蹴るので、上から見た時に、踵を軸にサッカシューズのつま先が90度横を向いた状態にならならなくてはいけません。
しかし、彼は股関節が硬いので、下半身だけでこの動きを作り出すことができません。上半身も、下半身の動きにつられてしまうのです。
結果として、開きの悪い足の位置を、上半身と一緒に体を開くとともに、サイドキックのポジション(足を90度開くポジション)
まで強引に持ってくる 、というアクションが加わるので、どうしてもパスを出すタイミングが遅くなるのです。
柔軟な股関節がパフォーマンス・チャンスを左右する
「今シーズンは、体のコンディションも良く、メディア等の注目度も高く結果を出したい。でも、股関節の状態が自分のパフォーマンスを下げている」
と本人が気がついての訪問でした。
加えて、北米のサッカーの特徴としてボールに対するプレッシャーが強く、日本でプレーしていたときのように、ゆっくり足を引いてシュートを打つ動作をする時間がない、という状況もあります。
そのような環境では、素早いサイドキックができることはさらに価値がでるのです。
サイドキックをうまくするためには
このサッカー選手のサイドキック問題は、一生懸命サイドキックの練習をしても、残念ながら根本的解決策にたどりつくことはできません。
しかし、マッサージセラピストとして、私はサッカーの問題でなく、腰の動きが悪いことがわかっているので、サイドキック問題を解決する事が出来る自信がありました。
このように、アスリートが伸び悩んでいる場合でも、むやみに練習時間を伸ばして特訓することが解決にならないことも多いです。問題の動きを細かく分析し、まずは選手の体を100%使えるようにコンディショニングする、そして再度、問題の動きを検証することが大切です。
股関節へのアプローチと見極める基準
まず大事なことは、一般的なマッサージ・ストレッチをの漫然と行うのではなく、必要な動きを生み出すポイントを絞ってコンディショニングすることです。
ポイントを見極める基準は、「股関節の動きを妨げる問題点」。
股関節自体だけでなく、股関節を各方向に動かす際に使う、主要な筋肉、膝関節、足首関節の状態をよく観察し、緊張の強い箇所を限定してください。
緊張の強い箇所が限定されたら、筋肉、腱、靭帯といった構成組織それぞれに、的確な刺激方法で緩めていきましょう。
さらに、疲れている箇所から負担の原因となる動作などを見つけ、改善すると、根本原因を取り除くこともできます。
マッサージセラピストTadのサイドキックコンディショニング
今回ケースの場合は、
- 股関節を外側に回す筋肉の緊張を緩める
- 太ももの外側の筋肉の、際立った緊張を緩める
- 走る時の、膝を運ぶ方向を改善する
- 太ももの筋肉の、内側と外側のバランスを調整する
- 足首周りの腱と、靭帯の緊張をリリース する
というコンディショニングを施しました。いかに股関節の問題の解決法が個人の体の状態によるか、がおわかりいただけるかと思います。
このように、ただ一般的なストレッチをするのでなく、股関節の動きを総合的に見極めアプローチをとることができます。冒頭のサッカー選手は、このようにサイドキック問題の改善に取り組み、今シーズンの良い結果に繋がっています。
Photo by Kyle Pham on Unsplash
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