トロントFC 櫻井選手

私は今トロントに住んでいるのですが、「TOJRA」というトロントのさまざまな生活情報を日本語で載せている情報誌にも寄稿しています。
数年前、そのTORJAのインタビューに登場してくれた事もある、櫻井功太選手というサッカー選手について、今回はお話ししたいと思います。

櫻井選手は高校卒業時にプロ契約の誘いを受けたものの、アメリカのアイビーリーグでプレーしてみたいと大学進学への道を選択。
大学3年生で背番号10と活躍し、有名大学での勉強においても卒業時に成績優秀表彰を受けるなど、まさに文武両道を実行しました。
そんな彼が、大学卒業後、2つ目の夢であるプロサッカー選手への挑戦を始め、先月その夢を叶えたのです。

トロントFCの選手へ

「プロサッカー選手になりたかったのではなく、トロントFCの選手になりたかった」

櫻井選手がそう言ったのはなぜか?
それは、
①トロントFCのユースチームで育ててもらった気持ちが強く、チームに恩返ししたい。
②ホームである夕陽に照らされるBMOフィールドでプレーした時の感動が忘れられない。
といったトロント市民にとって嬉しい限りの理由なのです。

アイビーリーグの大学サッカーでは十分に実力を発揮した櫻井選手が、プロの壁を突破することに少々苦戦したポイントを紹介します。

プロのサッカー選手がぶつかる壁

ポイント① スタミナ不足

櫻井選手がトロントにいたユース時代、つまり高校生の頃から、私はサポートを始めていて、アイビーリーグでプレーしている間も色々なツールを駆使してサポートを継続していたので、距離は離れていても大体のコンディションを把握していました。
そんな状態の中で、私が彼のスタミナ不足を感じたり、または本人から報告されたりすることがなかったため、今回のスタミナ不足の件は、プロの練習レベルの高さを認識させられる出来事でした。

私はサッカーのコーチではないので、フィジカルなアプローチは行わないのですが
過去に多くのトップアスリートを救ってきた過去のコラムでも紹介した
「TAD式胸郭リラックスメソッド」で、呼吸を楽にできるようにする対策を講じました。

ポイント② パス軌道の安定

ミッドフィルダーである櫻井選手に一番求められるのは安定して正確な良いパスを蹴り出すことです。
安定した正確な良いパスとは、バックスピンか無回転で一定の高さ軌道のボールを蹴ることだと教わりました。
安定した回転のボールは受け側がボールコントロールしやすく、平行軌道のボールは結果として最短距離で相手に届くのでボール到達を 0.…秒短縮して相手チームのディフェンダーが来る前にボールを処理できるというのです。

私にとって、安定したパスを出すためのマッサージというのは、はっきり言って経験がなかったのですが、気持ち良くプレーしてもらうために、腰・膝・足首の関節を丁寧にコンディショニングをしました。

ポイント③ プロのプレッシャー

櫻井選手にとって、長年の夢であったプロサッカーの舞台。
ですが、レベルの高さやアマチュア時代とは全く違う選手に対する要求に
プレッシャーも感じていて、その強いプレッシャーは、プレーにも微妙に変化をもたらしました。
具体的に言うと、アマチュア時代は自分のプレーさえしっかりしていれば文句を言われないし、それで良いと考えていましたが、プロに要求されることは、まず勝利です。
自分が良いプレーをしていてもチームが負ければ全く評価されないのです。

プロは収入のかかった真剣プレーです。
サッカーは自分にボールが来なければ何も出来ません。
自分にパスを出してもらうにはチームメートから、パスを出したら良い結果を出してくれて、自分にもメリットが有る相手である、と認識されなくてはなりません。
先シーズンまでトロントFCでプレーしていた先輩である遠藤翼選手の、グランドの外でもチームメートとフレンドリーに真摯に接する姿を見て人間関係構築の重要性を学んだと言います。

夢だったプロのサッカー選手を希望の地で

フィールド・オブ・ドリームス

櫻井選手の高校生からの夢が叶う日が訪れた時のことです。

トロントFCのBMOフィールドで夕方の試合に先発出場を告げられたのです。
夕方の試合というのがポイントでした。それは、夕陽がBMOフィールドのスタンド越しに沈んでいくのが、櫻井選手が一番好きな光景だからです。

また、櫻井選手が怪我をせずにコンディションがいつも良いのに気がついて、強引に私の所に辿り着いた一年先輩のチームメートのPaul Rothrock選手も先発出場ということで、試合に招待いただき観戦してきました。

ストライカーとしてゴールを決めてチームを引っ張り大活躍のRuthrock選手に比べ、淡白なプレーの目立った櫻井選手でしたが、後日聞いてみると高校生の頃からの夢が叶った感動で胸が一杯で試合中は集中力に欠けたと教えてくれました。
良いストーリーだとは思いますが、プロの場合、2度の同じ失敗は致命傷になるのでサポート側の私もより目を光らせて注意深くサポートをしていこうと考えています。

遠藤翼選手に続く、日本人トロントFCミッドフィルダー櫻井功太選手のサポートを、私はこれからも続けていきます。
皆様も、応援をどうぞよろしくお願いいたします。