今まで4回にわたってご紹介してきた、日本を代表するフィギュアスケーターとなった彼女は、初対面の時から他のアスリートとは一味違う側面を持っていました。彼女は15歳で初めて私のもとにコンディショニングに来た時から、注文をつけてきたのです。
まだ若かった私は、一瞬「生意気!」と率直にいうと思いましたが、そんなことはお構いなしに、
「ここを、こうしてください。」と彼女から指示がきます。
私が、「ハイ、お疲れ様でした。終了!」と言っても、
「まだ、ここの緊張が取れてないのでお願いします」
と平気で注文して来ます。
そして、その注文内容が、いちいち的を得ているのです。
双方向スタイルのコンディショニングの目覚め
この彼女とのやりとりがきっかけとなり、今まで一方通行だった私のコンディショニングを改め、患者さんの体の反応を一回一回確認するという双方向スタイルを考案しました。
私のコンディショニングの、正確さと確実さを向上させてくれた大きな経験です。
そして、この経験は、その後オリンピック金メダルを導くコンディショニングへの基礎となったのです。
本人がコンディショニングを理解し、実践する
私がスケーターに出来る事は限られています。
この不足部分を補う鍵は、私側ではなくアスリート側にあることに気づいたことで、私のやるべき事が明確に見えたのです。
より良い結果を出すために、クリニック外でのアスリートをどの様にサポートするか。つまり本人が行うコンディショニングもセットで説明し、実践できるようにしました。
これは、普段コンディショニングしていても、予算などの関係で、肝心の海外試合の間にサポート出来ない状況に直面した際にも役立ちました。
私は日々のコンディショニングの中で、その意味やセルフケアを全て説明し練習します。なので、1〜2週間離れていても最低限のことは日々、アスリートが自分で対応できる状態を作り出すことができたのです。
そして副産物として、アスリート本人のコンディショニングに対する意識が高まり、好循環を生み出すのです。
この様な状況になると、コンディショニングの必要性を本人が本当に理解してくれます。
面倒なコンディショニングの虜になるには
一般の方はもとよりアスリートにも、面倒だと思われてします体のコンディショニング。そう思われてしまう理由は、その効果を実感して貰えるようなコンディショニングが出来ていないことにあります。
逆に言うと、その効果を伝える事が出来れば、本人がコンディショニングしたくてたまらないはずなのです。
きつい特訓することなく、自分のフィジカルがアップすることを嫌がるアスリートはいません。
- 足首緩めて足が速くなる
- 腰を緩めて体のキレが良くなったり、バランスが良くなる
- 膝を緩めて垂直跳びがヤバイくらい高く跳べるようになる
このようなパフォーマンスの向上を、説明付きで実感してもらい証明してあげれば、どのアスリートもコンディショニングの虜になるのです。