退路を断った女子フィギュアスケート選手 オリンピックへの道(vol.2)

逃したオリンピック出場権、そして…

そんなストイックな彼女でしたが、オリンピック出場への最初の挑戦では、惜しくもその出場権を逃してしまいました。

そこで私が驚いたことは、そのすぐ後に、彼女がトロントに現れた事です。

まだオリンピック選手慣れしていなかった私は、かける言葉に困っていましたが、本人至ってサバサバ。

「結果はしょうがないので、次のオリンピックに向けて1日でも早くスタートした方が良いと思い来ました」と彼女は言います。

オリンピック出場はもちろん大きなこと、ですが4年後、そしてその後のオリンピックすら見据えていたのです

オリンピックに出場しての感想

その4年後、彼女は自分が国際大会で活躍することで日本の出場枠を広げて、オリンピックに出場、そして上位の成績を残すことができました。

ささやかながら、カナダのトロントの友人を集め、オリンピック出場おめでとうBBQを催し、最後に彼女からオリンピックの感想を聞くことになりました。

「えー、オリンピックの感想ですね。自分はメダルを逃したので表彰式を観客席から見たのですが、オリンピックというところは、あの表彰台に乗らなければ意味がない事を実感しました」

実は「開会式が凄かった」「どこどこの選手に会った」「選手村の食事が美味しかった」のような感想を予想していたので意外でした。

彼女のこのオリンピックの感想は、その後数多くのオリンピアンのサポートする際に、常に心に留めている言葉となっています。

オリンピックに出る、普段の自分を出すための体のコンディショニング

アスリートは、本人だけでなく家族も含め、オリンピックの表彰台に立つために全力で力を注いでいます。そんなアスリートにとって、オリンピックに出ることはお祭り騒ぎではなく、自分達の努力を形にする(したい)場なのだと、改めて感じました。

マッサージセラピストとしてサポートする立場の私は、この事を肝に銘じ、アスリートに納得のいく現役生活を送ってもらう事を心がけています。

実際のオリンピックイヤーでは、予想外の色々問題が発生したり、ライバルとギリギリの線での争いになります。そんな時こそ、普段の自分を試合で出す難しさを痛感する事になるのです。

困難な状況でも自分を出さないといけない、そんなときに誰しもコンディショニングの重要性を実感するのですが、その状況になって初めて気づいたのでは時既に遅しです。

このような失敗を避ける為に、アスリートには時間的な余裕があるうちに(そして怪我もないうちに)体のコンディショニングのコンセプトを理解してもらいます。身のあるコンディショニングができる下地を作ることが、金メダルに導く第一歩だからです。

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