ランナーのコンディショニングには、様々なアプローチがあります。
多方面からアプローチできるコンディショニングの中から、
大きく5つの箇所を、どのようなコンディショニングが効果的なのかご紹介します。
1.走る動作においての足首の重要性
ランナーの場合、コンディショニングのベースを足首に設定する事をお勧めします。
理由は、走る動作において一番疲れが溜まりやすく走りに影響が出やすい箇所だからです。
以前、特訓に次ぐ特訓で足首が疲れ果てたサッカー選手の足首を緩めてあげただけで、翌日の試合で30%長く走れたという事例がありました。(GPSを体につけて試合したので正確に走行距離が計測されています)
このことからも、足首のコンディショニングにより走りが変わるという確信を得ています。
足首の状態のチェックとコンディショニング
床に上向きに寝て足の先が天井を向いている状態から足先を床方向に動かし動きを確認します。
足先で床が触れれば合格。触れない場合、足首の角度を確認しましょう。
では、コンディショニングですが、これがまた簡単です。
脛の外側にある筋肉をマッサージするだけです。
(場所が判らない時は、足首を甲側に倒す時に動く筋肉を見つけて下さい)
毎日続けて、少しでも足首が床の方向に動くことを実感しましょう。
2.膝の管理
膝の管理の目的は、複雑な動きをする関節の負担を軽減して致命的な怪我を防ぐことです。
膝を動かすメインの筋肉は知名度の高い大腿四頭筋とハムストリングス。
この筋肉のコンディショニングの基本はバランスを取ることです。
何故かと言うと、太腿の前後につく幅広い筋肉なので、ランニングフォームのバラツキなどの理由で内側と外側で筋肉の疲れ具合が変わって来るからです。
例えば、ガニ股気味に走る選手は太腿の外側が硬くなると言った具合です。
膝のコンディショニング
太腿の筋肉のバランスを整えることは、走る際の膝の動きに大きく影響します。
前面、後面の左右の筋肉のバランスを整えましょう。
①太腿前面の筋肉のバランスを整える
- 膝のお皿の上3cmくらいの所に太腿前面を横切る線をイメージする。
- その線上を太腿の内側から外側に5ポイント深く押して硬い筋肉を見つけて、マッサージをする。
②太腿後面の筋肉のバランスを整える
- 硬い床に直に座った時に痛くなってくるお尻の骨の下側辺りにあるロープ状の硬い筋肉をマッサージやストレッチで緩める。
3.腰の動きを滑らかに
ランナーの腰の動きを妨げる大きな原因は、腰椎から鼠蹊部を通って足の骨に付着する筋肉の疲れです。
腰の左右に対で存在するので腰の動きに大きく影響します。
腰の状態のチェックとコンディショニング
次の動きができるか、まずはチェックしましょう。
鏡の前で膝を胸に向けて持ち上げる。
→ 膝が胸に当たるくらい上げられれば合格。
→ 膝があまり上がらない。
膝が真っ直ぐ上がらないで内側や外側に上がってしまう場合はコンディショニングが必要ということです。
ではそのコンディショニングですが、これまたとてもシンプルで、あぐらをかいたポジションで鼠蹊部深くをマッサージします。
鼠径部の奥深くは、普段大きく動かさない筋肉がぎゅっと詰まっていますので、意図的にそこをほぐすようにしましょう。
4.肩の管理
ランナーの動きの一つに、腕を振る動作があります。
ここに影響するのが肩。
本来、肩関節は色々な角度に動かす事が出来るものですが、 色々な筋肉がくっついているので、一つの方法でコンディションを整える事が出来ません。
つまり、総合的なアプローチが必要ということです。
また、コンディショニングをするにあたり、痛い痛く無いと言う判断基準ではなく、肩の可動域を正確に見極めるなどが怪我を未然に防ぐのに大切です。
肩のコンディショニング
ご自身の肩の状態をチェックし、肩の疲れを取る方法をお伝えします。
チェック方法は極めて簡単で、床上に仰向けに寝て両肩が床につけば合格。
肩と床にスペースができる場合はコンディショニングが必要です。
肩関節を緩めるためには、総合的なアプローチが必要と先ほどお伝えしました。
ちなみに、肩の可動方向は、前後、左右、内外ローテーションの6方向です。
総合的アプローチということは、少なくとも、この6方向へのアプローチが必要と言う事です。
6方向へのアプローチというと少し大変そうに聞こえますね。
このブログを読んでくださっている皆様には、とっておきのショートカット方法をご説明致します。
理屈としては、上記6方向へのコンディショニングを丁寧に行うのが理想ですが、様々な理由により、そこまで出来ない人には、肩関節を直接緩める事により最低限のコンディションを確保する方法があるのです。
鎖骨マッサージで肩関節を緩めましょう
(1)簡単マッサージで、肩関節が緩み肩の動きが改善
①鎖骨の下の部分に指で触る
②鎖骨に沿って外側に指を動かす
③指が丸い骨に触れる。
④丸い骨の上の鎖骨の間をマッサージする
⑤丸い骨と腕の間をマッサージする
(2)肩甲骨の動きを良くして肩関節をスムーズに
壁や床と背中の間にテニスボールを挟んでボールを動かしながら、肩甲骨の内側に沿ってボールでマッサージをします。
肩甲骨の動きが改善されて肩関節がよりスムーズに動かす事ができます。
5.足の甲の管理
長年の練習により足の甲に疲れが溜まっているランナーが多いですね。
足先を観察してみると横から締め付けられて細くなっているケースがあります。
足の甲を緩めてしっかりと地面を掴めるようになると、走りが良くなるケースが多いものです。
足の甲を緩めるコンディショニングとは
- 足の指を甲側に反らせて甲に浮き上がる腱を見つける
- 5本の腱の間を親指で切るようにマッサージして緩める
ランナーのためのコンディショニング まとめ
これまで説明した様な、体の基本的なコンディショニングを整えると共に、自分のランニングフォームをスロービデオ撮影して各関節の可動域や可動方向を確認するのも大切です。
- 思いの外ガニ股で走っているから脚の外側が疲れ易い?
- 足首の外側で着地しているから捻挫し易い?
- 練習の疲れが抜けて無いから膝があがってない?
などの長年の問題点が露呈します。
ランナーのように同じ動作を繰り返す競技の場合「???」と思う小さなブレが倍返しで体に負担となるので、繊細なアセスメントがとても大切です。
Photo by Chander R on Unsplash