金メダルを獲るコツ Vol.4

エクササイズは身体に負担?

毎週訪れてくれる有名ヨガインストラクターの患者さんが

「オンラインでインドのGuruのレッスンを受けてから全身が痛い」
「ヨガって体に悪いかも?haha!」

とお茶目な笑みを浮かべて話してくれました。

長い歴史のあるヨガが体に悪いとは思いませんが、
インドのGuruのレッスンを受けられるレベルの体のコンディショニングが出来ていなければ、体に大きな負担がかかるかも知れません。

同様のストーリーとして、

「週に3〜4回ジムに通ってエクササイズ&ストレッチをしているが、膝や腰の痛みが酷くなってきた」
「アスリートとして毎日厳しい練習をしているが、伸び悩んでいる」
「バレエの先生に、毎回姿勢が悪い、腕の動きが小さいと注意されるが、なかなか治らない」

などがあります。

どれも有名ヨガインストラクターのケースと同じ問題に陥っている可能性があります。
さて、その問題とは?大きく3点あると私は考えています。

体の状態を把握していますか?

問題点1
目指している動きをする為の体が出来ていない。

例えば、バレリーナが腕が上がっていないと先生に怒られて、まず考えるべきは、次の2点です。
①要求されたテクニックが出来ない問題か?(練習不足/理解不足)
②そもそも腕の動きの元となる肩関節の動きがわるい問題か?の判断

毎回怒られる場合は②のケースが多いのでしょう。

①の場合、多くの人がとる対策として、肩関節が動いていないのに無理矢理腕を上げようとして、上半身をバレない程度に動かして誤魔化す様なことをしていると考えます。
これはその場凌ぎの対応であり、その延長線上に、腕の使い方が良くなる事は無いと思われ、永遠に無意味な努力をする事になります。

つまり、始めに②の問題点であると判断すれば防げる問題なのです。

問題点2
問題点1を判断出来ない。

これはどういうことか、少し細かく説明します。

長い期間にわたって注意を受ける場合、テクニックの問題ではなく、基本動作を妨げる問題点が体に存在すると思われます。
バレリーナの腕の問題を例えとして、もう少し具体的に判断方法を説明します。

腕の動作の元になるのは肩、肘、手首の関節ですので、指先まで神経の行き届いたしなやかな腕の動きをするには、最低限これらの関節がスムーズに動く必要があります。
鏡に自分の背中を写して肩を動きと連動して肩甲骨も動いているかを確認するのは簡単な判断方法です。

ですが、実際には、この様な判断をせずに毎回先生に怒られながら緊張して練習を続けて、体に力が入って、逆に関節の動きを妨げてしまいます。

細かく言うと、肩の動きは肩関節と肩甲骨の2つの連動した動きなので、肩関節だけで無く肩甲骨周りの緊張を取り除く事も大切ですなのです。
これが、巷で言う「肩甲骨剥がし」が必要な理由です。
一言に肩甲骨剥がしと言っても色々な方向にいくつもの筋肉が付着している肩甲骨を剥がすのはYoutubeで見るほど簡単ではありません。

① 肩甲骨の周りの3辺をセルフマッサージやストレッチする基本的アプローチに加えて
② 脇の下からアクセスできる肩甲骨と肋骨の間の隙間に指を入れて裏側を直接緩めるアドバンスクラスのアプローチで肩甲骨をリリースする
事により、やっと肩甲骨がスムーズに動いて肩の動きが軽く大きくなります。

この方法はアプローチするポジションを確実に理解して的確な刺激を加えれば、その場で肩の動きが改善されるのを実感できますが、チョットしたコツがあります。

文章で表現すると難解なイメージかもしれませんが、体を使って専門家に説明して貰えば簡単に理解できます。

この様に、問題点を見極めるには最低限の知識とコツを理解する必要があるため、問題1を自力で判断が難しい、ということになるのです。

問題点3
盲目的に信じたり、思い込んでいないか

これについては、私の中で、一番厄介な問題だと捉えています。

① 毎日努力すれば良い結果が出ると信じている
② コーチの言うことに従っているから大丈夫と思い込んでいる

昔からの常識にも、多くの間違いがある、という事が時々あります。
常に、新しくて正しい情報を取り入れるような謙虚さ、素直さも重要ですね(これは、スポーツやコンディショニングに限りません)。

基本的に一ヶ月程度取り組んで良い結果がでない場合は、方向性が間違っている可能性があります。
そういう時は、それをただ続けるのではなく、今回ご説明した様に、体の動きなどを軸に考え直してみると良いと思います。

コーチが、必ずしも各選手のバックグラウンドを理解して指導しているとは限りません。
自分に合わない方法をとり続けていると、結果的に多くの時間を失う事になります。
通常、トップレベルで争う期間は2〜3年であることから、多くの時間を失ってしまうことは、致命傷にもなりかねません。

この様なケースを過去25年間多く見てきましたので、出来るだけ内容を説明して、本人に理解してもらうコンディショニング方法を推奨しています。

『金メダルを獲るコツ シリーズ』のまとめ

重複になりますが、最終的には、本人が自分の体を十分に理解して自分流のコンディショニングをした上で、日々の練習に取り組むことです。
それが、金メダルへの近道だと思います。
なぜならそれは、本人が持つパフォーマンスを最大限に引き出す方法だからです。

これはアスリートに限らず全ての患者さんに共通するコンセプトです。
Flow Clinicでは、痛みなどの患者さんの訴えに対応するだけで無く、痛みの原因となる問題点の見極めや説明、根本的なセルフケアをセットでトリートメントを提供しています。

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Photo by Emily Sea on Unsplash