金メダルを獲るコツ Vol.2

今回の金メダルを獲るコツは、「イメージすることの重要性」についてお伝えしたいと思います。

その前に、私の心に強く印象付いたことであり、常日頃、私自身心がけていることがあるので、皆さんに共有させてください。

世界一の先に見える景色

日本ハムファイターズからメジャーリーグに来る際
「世界一と言われるピッチャーになりたい」
と語ったダルビッシュ選手が、実際に世界一へ手の届くポジションまで来て思うことは

「世界一はどうでも良い」
だそうです。

勝利優先になりがちな風潮の最近のスポーツ界で、とても新鮮に響いた言葉です。

今、ダルビッシュ選手が一番興味があるのは、本人が芸術(アート)と表現する変化球の研究で、
手からボールをリリースしてキャッチャーのミットに収まるまでを、日々試行錯誤しているそうです。

また、驚いたことに
①最新の機器を使い自分のフォームを解析して
②こまめにノートにメモを取り
③試合で痛い目にも遭い苦労して開発した新しい変化球を、本人が動画で細かく解説して情報公開する
ということを行なっています。

テレビの取材で
「ここは撮らないで下さい」
などと言うのとは真逆で、衝撃的な行動です。

ダルビッシュ選手が技術を情報公開するのには、以下のような理由があります。
①自分の技術を教えないのは勿体いない
②この技術を使って何億円も稼ぐ選手が出て来るかも知れない
③才能のある選手の芽を摘んでは野球界の成長は無い

これらの理由は自分がライバルを生み出してしまうかも知れないと思うと
なかなか、あっさりとは言えないものだと考えます。

ダルビッシュ選手とは比較対象になりませんが
「技術を公開する考え方」
は、私が過去25年、多くのアスリートと接する中で、心がけてきた事でもあります。

アスリートのコンディショニングは
①トレーナー主導型(選手に指導するタイプ)が多いのですが、
私は
②選手主導型を目標としている
ので、自分の技術に説明を付けて、全て選手に公開して来ました。

練習に比較すると、コンディショニングというのは選手にとって興味が薄いものです。
コンディショニングの重要性を理解して貰うためには、効率よく、目に見える効果を上げる必要があります。

言われたから嫌々やるのでなく、体を動かす前後などに、本人に自主的にやってもらうのが理想的なので、正確な情報を伝えて自分で効果のあるコンディショニングを身につけてもらう必要性があると考えたからです。

つまり、私と選手の共同作業でないとハイレベルなコンディショニングは成り立たないのです。

ダルビッシュ選手が
①ボールの握り方
②腕の振り方
③配球の構成
まで詳細に情報公開している様に、

私も、コンディショニングの
①目的
②基本的な関節や筋肉の動き
③ポイントの見つけ方
④ストレッチ、マッサージのやり方
⑤効果の確認方法
まで、丁寧に説明する様に心がけています。

全ての選手の試合に同行出来る訳では無いので、本人だけで試合に臨んでも試合期間中コンディションを維持させるのが目的です。

一方で、私がダルビッシュ選手に大いに反省させられた点は、メジャーリーガーとしての目標が自分本位ではなく、野球界の繁栄を目標としている事です。

ダルビッシュ選手の「忖度なしの真剣勝負」で、野球業界を盛り上げるというスタンスは、本来のアスリートの姿と映りました。
今後コンディショニングの一部として担当する選手達に伝えて行きたいと考えています。

また、これを機に、私が培ってきたアイディアも、出来るだけより一層多くの人にご紹介していくつもりです。

金メダルを獲るためのコンディショニング

さて、今回の、金メダルを獲るコツについてのお話です。

前回、Fragile  な選手を守る為に練習の完全水曜日休養のお話しをしましたが、それを補う方法として行ったのは「イメージ法」の導入です。

練習の調子が悪いと追加で特訓をしたがる選手をなだめて、違った角度から回復させる方法です。

イメージからコンディショニングする調整法

1)調子の悪いイメージを頭から払拭する。
2)過去の映像などから調子の良い時の動きを見つけて、頭の中で再度良い動作イメージを作る。
3)その良いイメージに自分の動作を投影させていく。
4)調子の良い動きに戻る。

動作イメージを、選手に伝わり易い言葉に置き換えて説明するということも、とても効果的です。
例:右肩から壁に全身でぶつかっていく感じ、パタパタパタと半回転ずつ、進行方向の体の壁をを中心に回転する感じ、など。

練習で調子を戻すのでは無く、イメージで戻すやり方は、ゲーム世代の選手には、より適しているのかも知れません。

次回の金メダルを獲るコツは、全神経集中のプレーを生み出すために必要なこと、をお伝えします。

Photo by Zac Durant on Unsplash
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